おっさんズらいふ

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実写版「君の膵臓を食べたい」はヒロインがうざくてつまらない?

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実写映画「君の膵臓を食べたい」は、住野よる氏のデビュー作にして大ベストセラーとなった「君の膵臓を食べたい」を原作にした映画です。

アマゾンプライムで見ることができたので、映画公開から4年後にして初視聴。

そして泣きました。

はまってしまったので、アニメーション映画、小説も全部読みました。

まだ観てない方は是非一度観てください。

おもしろいですよ。

 

 

主演ふたりの演技が上手

本作の主演は、ヒロインが「浜辺美波」さん、主人公を「北村匠」さんが演じています。

お二人の演技が上手なので、違和感なく作品の世界に入っていけました。

 

浜辺美波さんの、あざといくらいのかわいい雰囲気の中にも、病気を隠し持っている女の子の切なさを内包している姿が垣間見えてすばらしかったです。

北村匠さんも、すっごいイケメンなんですが、クラスになじめず孤独でいる雰囲気がよく出てて、ほんとうにそういう性格の人なのかなと錯覚を覚えるくらい。

 

こういう映画って、演技が下手な人が演じてしまうと興ざめになりますが、そういうところを一切感じさせなくてすごくよかったです。

 

実は孤独なヒロインと優しい主人公

本作のヒロインは、いつも明るくクラスの人気者として描かれています。

じっさい、主人公の「僕」にも常に笑顔で明るく接しており、主人公はほんとうに病気なのか疑ってしまうほど。

でも、彼女には周りには言えない秘密があります。

それは、彼女は膵臓の病気でもうすぐ死んでしまうということ。

周囲にはどうしても言えない自身の病気を、ひょんなことから主人公である「僕」が知ってしまうことから、物語は始まります。

 

「お父さんも、お母さんも、日常を取り繕うのに必死。(親友の)恭子だって、病気のことを知ったら、きっとそうなっちゃう」

 

自分は、物語の序盤でヒロインの語るこの言葉を、「ヒロインはどういう気持ちで主人公に言ったのか」がずっと気になっていました。

自分が病気であることを周囲に話さずにいるというのは、きっとさみしいこと。

でも、病気のことを周りに話してしまえば、みんなきっと、気を使っていつも通りの日常は送れなくなってしまう。

そんな「恐れ」を抱いているヒロインは、主人公である「僕」にだけ打ち明け、自分のこころの孤独に気づいてほしかったのではないでしょうか。

ぱっと見だと、あざとくてウザイ、オタクが好きそうな女の子ですが、ヒロインの内面を知っていくと妙に愛しさを覚えるようになります。

 

「私が、ほんとうは死ぬのがむちゃくちゃ怖いって言ったらどうする?」

 

2人で旅行に行った夜、ヒロインが主人公に言った言葉に、主人公は何も答えられなくなります。

でも、自分は何も答えないところに、主人公の優しさがあるように感じました。

ただ黙って、ヒロインの心の声を聴いてあげる。

それってなかなか、出来ることじゃないと思うんですよね。

主人公もただ根暗なだけじゃなくてすごく優しい。

 

地味で根暗だけど、それだけじゃない主人公

地味で根暗な主人公にかわいくて明るくて人気者なヒロインが興味を持つわけがない。

そんな批評もされてしまう今作。

たしかに普通に考えればなかなか無い話。

小説や作り話。

 

でも、本作にリアリティーを持たせているのは、主人公は、ただ地味で根暗なだけではないってところ。

彼は、ヒロインの言葉を借りれば「(孤独と)戦っている」人なのです。

ヒロインが実は孤独を抱えている。

でも彼女は孤独とは戦えない。

周りがよそよそしくなっていってしまうのが怖い。

でも、彼は、孤独に常に立ち向かっている。

そんな彼の姿はヒロインにはどう映っていたのでしょうね。

そういう風に考えると、ヒロインが主人公に興味がわくのも自然だと思いませんか?

 

主人公の成長物語も見どころの一つ

物語全体をとおして、主人公は、自分はヒロインや周りに流されて、いろいろなことに付き合っているだけだと思っています。

自分には意志がないと思い込んでいます。

だからヒロインとのかかわりについても、ヒロインに流されているだけだと思っています。

人とは関わりたくない。

そう思い込んでいます。

 

しかしヒロインはそんな彼に、こう言います。

「私たちは偶然に出会ったんじゃない。運命でもない。私たちの一つ一つの選択が、私たちを出会わせたんだよ」

 

今までずっと、自分には意志がない、人と関わりたくないと思っていた主人公。

そんな彼に、彼女の言葉は気づかせてくれます。

彼がほんとうは、意志をもっていること。

彼がほんとうは、人とも関わりたいと思っていること。

 

アニメーション映画、小説との違いは?

「君の膵臓が食べたい」は、アニメーション映画にもなっていますし、原作は小説です。

アニメーション映画は実写映画よりも原作に近い形で作られています。

また、原作小説では、ヒロインと主人公の仲が深まっていく過程が、二人の軽妙なやり取りを通して、より詳細に描かれています。

 

「君の膵臓を食べたい」は、住野よる氏のデビュー作です。

そのため、やや粗削りな印象を小説では受けます。

その粗削りな部分を無くし、洗練された映画としたのが、実写版「君の膵臓を食べたい」になります。

小説、アニメ、実写の3つの違いを比べてみるのも、きっと面白いと思います。