いろはにほへと

元証券アナリストのひとりごと

「美女と野獣」のベルの性格は悪い? それ、たぶん大きな誤解です

f:id:fjftr710:20210707235048j:plain

「美女と野獣」の主人公のベルの性格ってどう思いますか?

個人的には優しくて芯の強い女性ですごく良いと思うのですが、ネットの評価をみると「上から目線」「自分から謝らず強情」「身勝手」という意見もあるようですね。

ただ、これらの意見はちょっと誤解があるような気がして・・自分には違和感がありました。

今回はこれらの意見に対して自分の思うところを書いていきたいと思います。

 

 

ベルは上から目線? 

「美女と野獣」の始まりの歌「朝の風景」の歌詞。 

ここの歌い始めの印象が、ベルが村の人々を見下してるんじゃないのかという意見があるようです。

ここは静かな町

いつも同じ朝

みんな目を覚まして

呼びかける

ボンジュール ボンジュール

いつもと同じパン屋さんが

パンを売りに来る

毎朝同じかおぶれだから

みんなおなじみ

Little town

It's a quiet village

Everyday 

Like the one before

Littele town 

Full of  little  people

Waking up to say

Bonjour Bonjour・・

 

There goes the baker with his tray,like always

The same old bread and rolls to sell

Every morning just the same

Since the morning that we came

To this poor provincial town

英語と日本語だと情報量がだいぶ違うのですが、何となく読み取れるのは以下の内容です。

  • ベルはこの村のことをあまりよく思っていない(日本語、英語とも)
  • ベルとモーリスはよそからやってきた人(英語詞から読み取れる)

 

ですが、これ、この後の歌を聴いていくと分かりますが、ベルが町の人を見下していると読み取るよりは、ベルがこの町になじんでいないと読み取る方が自然かと思います。

ご覧あの子はいつでも

少し風変り

夢見る瞳

空想ばかり

謎めいてるファニーガール

美しいファニーガール

誰と結ばれる?

ファニーガール

Look there she goes a girl who's strange but special

A most peculiar mademoiselle

It's pity and sin

She does'nt quite fit in

'Cause she really is a funny girl

A beauty but a funny girl

She really is a funny girl

That Belle

後半の部分、じつは日本語詞は相当ぼやかして書いています。

自分は英語詞を調べてみてビックリしました。

英語詞だと以下のように村人から思われていることが分かります。

 

strange:(正体が何であるか分からず)変な

peculiar:(不快なふうに)妙な、変な、異常な、気の狂った、(特定の人にのみ属する意味で)特有の、固有の、(…に)特有で、病気で、具合が悪くて

pity:哀れみ、同情、残念な事、気の毒な事

sin:(宗教・道徳上の)罪、罪業、過失、違反、ばち当たりなこと、ばかなこと

funny:おかしい、こっけいな、変な、奇妙な、不正な、いんちきな、いかがわしい、気分が悪くて、体の具合が悪くて、ばつが悪くて

 

これ、日本人がそのまま見たら、村八分状態というか、仲間外れというか、半分魔女扱いされてるようなのがベルだっていうことが分かります。

日本語だと村人からベルへのよく思っていない感情はかなり隠されているのですが、英語で読むと相当ひどいことが分かります。

そりゃね、出ていきたくもなるよねって話です。

ここから分かるのは、ベルが村人を上から目線で見ているというよりは、村人がベルを変人(ほとんど魔女)扱いしていてることが分かります。

 

自分から謝らない強情さ

父親モーリスの代わりに野獣の囚人になったベルですが、牢屋のような塔の一室に閉じ込められていたモーリスとは違い、城内を自由に出歩いていいと許可を得ます。

ただし西の塔には近づかないように、と釘を刺されていました。

ところがベルはその言いつけを破って西の塔に無断で侵入し、野獣の呪いの期限を示すバラの花に触れようとし、それを見つけた野獣が大激怒してしまいます。

まあ、野獣からすれば命の次に大切なバラですからね。

仕方がないかもしれません。

ベルは野獣の激しい怒りに恐れおののき、もうこの城にはいられない、とフィリップにまたがって城を脱出。

しかし城の外で狼の群れに襲われて絶体絶命のピンチ。

そこに野獣が現れて、狼たちを撃退するも、大きな傷を負ってしまいます。

ベルはそんな野獣を城に連れ戻し、手当てをするのですが、ここで野獣とベルがどちらのせいでこのような状況になったのかの口論を繰り広げます。

野獣:「お前が逃げ出すから傷を負った。」 

ベル:「あなたが怒鳴らなければ逃げ出すことはなかった。」

野獣:「入るなといった西の塔に入ったからだ」

ベル:「すぐに怒るのが悪い」

と、こんな感じです。

 

まあこれをどっちが悪いと決めるのは難しい気がします。

野獣の言い分ももっともだし、ベルの言い分ももっともだし。

 

でもこの後、ベルにやり込められた野獣がベルに背中を向けると、ベルはこういうんですよね。

「ちょっと痛むと思うから我慢して」

「それと・・助けてくれてありがとう」

 

たしかに頑固な一面もあるかもしれませんが、それと合わせて優しさや素直な気持ちも持ち合わせているのがベルの良いところだと思います。

 

身勝手な行動

ベルは自分から囚人になっておきながら、「野獣に怒鳴られて逃げてしまったり」「父親のモーリスの様子を知って帰りたいと言ったり」「野獣の様子を魔法の鏡で村人に見せたり」身勝手な行動が多いという意見がありました。

そして、そのせいで度々野獣がピンチに陥っていて、大けがをしたり死にそうになったりしています。

 

ただ、指摘される事象はすべて、ベル自身が身勝手だからというよりは、やむにやまれぬ事情があって、結果的にそうなっているだけですから、身勝手という批判はおかしいように感じました。

 

まず、野獣に怒鳴られて逃げるシーンですが、誰だって、野獣に怒鳴られたらビビって逃げますよね? むしろあれで逃げずにいたら不自然なのではないかとおもいます。

父親のモーリスが死にかけていたら、「帰りたい」と思うのは、むしろ親のことを思う気持ちがあれば、当然のことなのではないでしょうか?

また、父親のモーリスが怪しい医者のいる精神病院に連れていかれそうになったら、父親の行っていることを証明するために、村人やガストンに魔法の鏡で野獣を見せるのではないでしょうか?

 

彼女の行動は身勝手というより、むしろ人としてあたりまえの行動であり、ごく普通の人の普通な反応ではないかと思います。

 

ベルの性格をまとめると

ベルはディズニープリンセスの中では珍しく、頑固で芯の強い性格の女性です。

自らの信念に嘘をつかず、自分の意志を貫く人とも言えます。

自らが大切にしているものの為には命を張って行動が出来ます。

一方で、優しさや心の広さ、理知的な面を持ち合わせています。

彼女の優しさや心の広さが、野獣の心を開かせる大きな要因であったことは、言うまでもないでしょう。

 

ベルのことが好きな人は彼女の性格が好き

これまでベルが性格悪いんじゃないか説を見てきましたが、数多くいるディズニープリンセスの中でも美女と野獣の「ベル」が好きという人は多いようです。

ベルはディズニープリンセスの女性人気2位 ですし、その性格が好きという方は多くいるようですね。