中年になってくると失うもの。
それは、自分自身ではないでしょうか?
日々の生活に追われ、かつてのような仕事に対する情熱もなく、でも、その生活を捨て去り、新たな道を歩むこともままならない。
そんな、日々の閉塞感を根底から打ち砕いて解放してくれる本。
それが今回おススメする、「Iターン」という小説です。
自分と同じように日々の生活にうんざりして、それでも今の生活を捨てられない中年サラリーマンの方に特におすすめです。
著者プロフィール
福澤徹三
福岡県北九州市生まれ。高校卒業後、肉体労働、営業、飲食店、アパレルなど、さまざまな職業を経てデザイナー兼コピーライターに転業。プロダクション、広告代理店、百貨店アートディレクター、専門学校講師を経て作家活動に入る。2000年、『幻日』でデビュー。ホラー小説や怪談実話、アウトロー小説、警察小説まで幅広く執筆。2008年『すじぼり』(角川書店)で第10回大藪春彦賞を受賞。2014年『Iターン』で第3回エキナカ書店大賞受賞。(Wikipediaより引用)
本の概要
主人公が地方に左遷されるところから物語は始まります。
主人公は左遷寸前の、家族からも相手にされていない中年サラリーマン。
左遷された先では2人の今時の若者社員を部下に持ち、必死にリストラされないように頑張りますが、うまくいかない日々。
ある時、広告の誤植が要因で、ヤクザに脅されてしまう主人公。
当座をしのぐために、リストラ寸前にもかかわらず、別のヤクザに大きな借金を背負わされ、舎弟にされてしまいます。
待っていたのはスリリングで綱渡りな毎日。
2人の部下に怪しい行動を疑われ、会社からはリストラの対象として狙われ、ヤクザからは無理難題を吹っ掛けられる日々。
そんな中で主人公は、失っていた「自分」を取り戻していくことになります。
読後感想
ヤクザの世界を描いていますが、テンポよく、非常に読みやすいです。
ハラハラドキドキで、(私の場合は)ダメな中年のサラリーマンと自分がすごくダブって感じられて、すごく感情移入して読めました。
ヤクザの義理人情と非道さ、そういったものとはかけ離れた現実世界を主人公が行き来することで、違った世界、異なった世界観を見、自分の今の立ち位置、価値観と言ったものが本当に大事なのかどうかについてまで、考えさせられました。
読み終えると、ちょっと自分の悩みが無くなったような気がして、ちょっと仕事を頑張れる気がする、そんな1冊です。