不謹慎と言われようと、人間性に問題があるといわれようと、今回の事件について思ったことを書いておくのが本来のブログの使い方である気がするので、書いておく。
今回の安倍晋三元首相暗殺事件で露呈したのは、安倍晋三元首相が掲げたような「美しい国日本」や「日本を、取り戻す」などのキャッチフレーズで取り戻した美しい力強い日本の姿ではなかった。
むしろ、皮肉なことに、「政界」「マスコミ」「警察」の各方面にわたり堕落しきった「情けない国ニッポン」の姿を白日の下にさらしてしまった。
憲政史上最長の政権を担った首相の暗殺事件にも関わらず、国民の関心はそれほど大きなものにはならなかったような気がする。
むしろ、非常に冷めた目線で今回の事件は国民からとらえられたのではないかと思う。
というのも、暗殺された当日はみんなその話題で持ち切りだったが、次の日には誰もこのことを話題に出さなくなったからだ。(Twitterを除く)
事件の概要
7月8日(金)に選挙応援演説中の安倍晋三元首相が散弾銃で撃たれ死亡した事件。
殺害場所は奈良県奈良市近畿日本鉄道大和西大寺駅北。
犯人は山上徹也容疑者(41)現行犯逮捕。
殺害動機は「特定の宗教団体に恨みがあり、つながりの深い安倍首相元首相を殺そうとした」と供述している。
特定の宗教団体とは、統一教会(世界平和統一家庭連合)。
母親が統一教会にのめりこみ、破産して家族が離散したことによる恨みとのこと。
美しくない国であることを身をもって証明
殺害動機が残念だとかいうと、不謹慎とか何とか言われそうだが、今回の安倍元首相の事件については、なんとも情けない殺され方にしか思えない。
昭和初期の2・26事件などとも比較された今回の安倍元首相の殺害という事件が、実は政治信条とはまったく関係のない完全な私怨でしかも自業自得・因果応報的なものであったというところがなんとも情けない。
もちろん殺人は良くないことだが、安倍元首相に対して、あまり同情の余地のない話だと思う。
統一教会という、世間的にカルト宗教で悪質な反社会的組織とつながりを持ち、その反社会的組織から被害を受けた青年に殺されたというのは、政治家であれ誰であれ、それは因果応報・自業自得というものだろう。
ヤクザの組織とかかわりを持っていたこととなんら変わりはないし、むしろヤクザよりも悪質かもしれない。
マスコミは大きく報道しないが、個人的には森友学園や加計大学、桜を見る会などの疑惑なんかより、よっぽど問題のあることだと思う。
なぜなら、森友学園や加計大学、桜を見る会などの疑惑は、あくまで政治家とその関係者の「不正利得」の問題であって、国民個人と深くかかわる問題ではなかったからだ。
もちろん森友学園問題でお亡くなりになられた赤木俊夫さんのように、人的被害がなかったわけではない。
が、多くの国民にとっては、あまり自分とは直接の関係のない、遠い問題であった。
しかしながら統一教会という組織は日本国内に6万人を抱えるという組織であり、約2千人に1人は統一教会であることを考えると、先に挙げた問題よりよほど身近なところに発生している問題ということになる。
もっとわかりやすく言えば、統一教会の被害は、たまたま今回は山上容疑者が被っただけで、もしかしたら自分の父親や母親、息子や娘、兄弟姉妹が被害に遭う可能性は十分にあったわけだし、これからも存在するわけである。
一国の総理であった者がこのような反社会的カルト宗教と結びつきを持ち、広く国民に被害を及ぼしている可能性があるということは、政治的・社会的に大きな問題であると言わざるを得ない。
日本はまったくもって「美しい国日本」などではないのである。
むしろ「汚らしい国ニッポン」というべきなのだ。
情けない国ニッポン
こうしたことを大きな問題としてとらえ、きちんと議論しようとしない姿勢を見せる大手マスコミ(特にNHK)の動きも大変違和感のあるものだった。
NHKに至っては翌日9日のNHKスペシャルで、容疑者が「政治信条的動機ではない」という供述をしているにも関わらず、「民主主義の危機」と報道したが、犯人の供述とまったく相反しており、戦時中の大本営発表と似たものをかんじさせた。
犯人の供述と現段階での取り調べでは、政治的動機から犯行に至ったという当初の予想は大きく外れているにも関わらず、憶測で報道したとしか言いようがない。
警察の平和ボケも目にあまった。
今回の事件当初から、SPの警護の甘さが指摘されており、安倍氏の背後にまったく注意していない様子が撮影されている。
警護のプロでなくても背後に気を配らなければならないことは誰にでもわかることであり、極めて甘い警護状況だったようだ。
そもそも襲われることはないと安心しきっているとしか思えない。
日本はもともと治安のよい国であるが、社会の歪を放置し続けた結果、このような事件が起こる可能性があるということを想定していなかったのだろう。