いろはにほへと

元証券アナリストのひとりごと

レバレッジ型投信・レバレッジ型ETFを買っちゃダメな簡単な理由

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レバレッジ型投信やレバレッジ型ETFというのが、このごろ人気があるそうです。

しかしこのレバレッジ型投信、長期保有すればするほど値段が下がっていく可能性が高まるってご存知ですか?

ちゃんと目論見書にも記載されているのですが、きちんと読み込んでいますか?

よく知らないで買うと、「こんなはずじゃなかった」大損をするかもしれません。

 

 

レバレッジ型投信とは?

レバレッジ型投信を簡単に言うと、ある原資産(日経平均など)に対してレバレッジ(倍率)をかけたリターンが見込める商品です。

たとえば、日経平均を原資産とするレバレッジ型投信を購入すると、日経平均が2倍になれば、レバレッジ型投信は4倍(レバレッジ2倍のとき)、もしくは6倍(レバレッジ3倍のとき)のリターンが見込めます。

レバレッジは一般的には2倍のものが多いですが、3倍など、より大きなレバレッジを聞かせている投信やETFもあります。

 

日経平均が2倍になると4倍・6倍などのリターンが見込める半面、半分になると0になってしまいます。

下落した場合も2倍の効果があるからです。

日経平均が半分になった場合、▲50%×2=▲100%となり、0になるわけです。

 

なぜ長期で投資すると値段が下がりやすいのか

レバレッジ型投信は長期で保有すると値段が下がりやすいと言われています。

なぜそうなるのか?

パターン別に考えていきましょう。

注:下記計算はレバレッジ2倍としたものです。

 

①10%の上昇、10%の下落を1日置きに10日繰り返した場合

 

レバレッジ無し:

1×(1.1×0.9)×(1.1×0.9)×(1.1×0.9)×(1.1×0.9)×(1.1×0.9)

=0.96

 

レバレッジあり:

1×(1.2×0.8)×(1.2×0.8)×(1.2×0.8)×(1.2×0.8)×(1.2×0.8)

=0.815

 

②10%の上昇、5%の下落を1日置きに10日繰り返した場合

 

レバレッジ無し

1×(1.1×0.95)×(1.1×0.95)×(1.1×0.95)×(1.1×0.95)×(1.1×0.95)

=1.246

 

レバレッジあり

1×(1.2×0.9)×(1.2×0.9)×(1.2×0.9)×(1.2×0.9)×(1.2×0.9)

=1.469

 

③10%の上昇5%の下落を5回繰り返した後、

 10%の上昇10%の下落を10回繰返した場合

 

レバレッジなし

1.246×0.96×0.96=1.148

 

レバレッジあり

1.469×0.815×0.815=0.975

 

④100%の上昇の翌日、50%の下落をした場合。

 

レバレッジなし

1×2×0.5

=1

 

レバレッジあり

1×3×0

=0

 

レバレッジ型投信、ETFは、「上昇相場では強いが、変動のない相場では弱く、急落による影響はとてつもなく大きい」ということがわかったと思います。

相場の急落、長期にわたる変動のない相場など、レバレッジ投信にとっては良くない環境というのはしょっちゅう発生します。

レバレッジ投信・ETFというのは、これから短期の間に確実に上昇相場がやってくると確信できる場合に購入する投資の上級者向けの商品です。

安易に手を出すのは「要注意」な商品なのです。