日銀が突然の利上げを発表してから約2か月。
円安だった為替は一気に円高に振れ、国債金利も落ち着いたかに思えましたが、国債金利は再び0.5%で張り付いて動く状況になっています。
日銀は再び利上げをするのでしょうか?
再利上げをするとしたらいつ頃になるのか?
予想してみました。
チャートから予想する日銀再利上げ
昨年の日本国債の金利推移をみると、大まかに言えば4月ごろから0.25%の金利が12月に黒田総裁が利上げに踏み切るまで続きました。
期間的に言うと約9か月。
9か月間日銀は金利上昇圧力に対抗して国債を購入し続けたことになります。
0.25%以上の金利がつくと市場が見なしている国債を、日銀が0.25%の金利で購入するということは、日銀が市場価格よりも高値で国債を購入し続けているという状況になりますから、日銀は損失を出し続けているということにほかなりません。
10年国債を日銀は購入していますが、金利が0.1%上がると約1.0%の損失が出ます。
日銀保有の日本国債は約536兆円(12月時点)なので、0.1%金利が動くと約5兆円の損失が発生することになります。
日銀は中央銀行ですから、日銀が常に損失を出し続けているという状況は好ましいことではありません。
中央銀行の信頼が揺らぐと、円の通貨としての信頼も揺らぐからです。
将来的には円安圧力がより大きくなることも考えられるでしょう。
チャートから単純に考えると、今後9か月間0.5%近傍での国債金利が続くと、日銀再利上げのタイミングがやってくるものと思われます。
つまり、9月前後が再利上げのタイミングとなるでしょう。
国債買入残高から考える日銀再利上げ
さきほどはチャートで考えましたが、もう一つの考え方として、日銀の国債買入残高から想定する方法もあります。
2022年の日銀の国債買入残高は111兆円になりました。
逆に考えると、金利上昇圧力が続く中、111兆円以上の国債買入は日銀は行えないとも言えます。
12月の利上げ後、いったんは落ち着いたように見えた長期金利でしたが、再び0.5%近傍で張り付くように動くようになりました。
それに伴って日銀の国債買入オペも増加し、1月の国債買入は23兆円弱となりました。
このペースで行くと4月には日銀の国債買入が92兆円となり、年間で見ると276兆円ペースとなります。
超ハト派の黒田日銀総裁ですら看過できなかった日銀のリスク増大に対して、次期総裁が看過できる可能性は高くなく、リスク回避のため国債の金利上限を再び上げる可能性は高いとみます。
3月までの国債買入残高を注視したいところです。
現段階での予想では4月前後で再利上げに踏み切る可能性が高いと考えています。
次回金融緩和は金利上限設定の撤廃か?
現在、日本国債の金利は日銀のイールドカーブコントロールの影響で10年国債の金利だけがへこんでいる歪な形になっています。
15年国債の金利と7年国債の金利からの推定では市場は0.75%程度の金利を見込んでいるものと思われます。
日銀が再度利上げをしても、再び市場の金利上昇圧力が続けば日銀はさらにリスクテイクをしていかざるを得ず、危機的な状況にさらされる危険性も考えらます。
次期総裁が日銀がこれ以上のリスクテイクをすることは危険と考えた場合、イールドカーブコントロール政策の放棄ということも十分に考えられます。
まとめ
以上をまとめます。
- チャートで考えると再利上げは9月
- 国債購入残高で考えると再利上げは4月
- 再利上げではなく、イールドカーブコントロール政策の放棄の可能性もある
私個人としては再利上げの可能性は非常に高く、しかもかなり近い時期に行われるものと想定しています。