「ふしぎの海のナディア」は1990年にNHKで放送されたアニメです。
「エヴァンゲリオン」「シン・ゴジラ」で有名な庵野秀明さんが監督を務めていて、「エヴァンゲリオン」ほど有名ではないものの、当時のアニメの常識を打ち破る名作として、30年経った現在でもファンの多い作品です。
私も子供の頃見て、未だに忘れられない名作アニメです。
最近Amazonプライム・ビデオでも見られるようになったので、久しぶりに全話通して鑑賞。
涙なしでは見られませんでした。
というわけで?今回は、物語の重要人物の一人で、「ふしぎの海のナディア」を成立させている真の主人公ジャンについて語りたいと思います。
主人公ジャン
「ふしぎの海のナディア」っていうタイトルのアニメですが、私に言わせると、この話の真の主人公はジャンです。
なんせこの話、「ナディア」「ジャン」「ネモ船長」「エレクトラ」「ガーゴイル」という5人の主要人物がいるんですが、ジャン以外はみんな基本、我が道を行く系。
ナディアはとんでもないわがまま娘だし、ネモ船長とエレクトラはマジメな顔して裏で出来ちゃってる(最終話でほんとに出来ちゃう)し、ガーゴイルは世界征服をたくらむ敵役だし、、ということで、ジャン以外まともな人物がいないんですよね。
ジャンがナディアに恋をし、ナディアを生まれ故郷に連れていくっていう約束を一途に成し遂げようとすることによって「ふしぎの海のナディア」っていうお話は進んでいきます。
ふつうだけどカッコイイ
子供の頃見てた時には、ジャンは別にそんなにカッコイイ!っていう印象はなかったですね。
むしろじゃっかんオタッキーなかんじがして、異色な主人公ってかんじがしてました。
当時主人公って言えばドラゴンボールの悟空とか、そういう「強い」のが主人公だと思っていたので。
ジャンは、飛行機を作ったり、ロケットを飛ばしたり、非凡なところもありますが、発明品はすぐに故障してしまうし、特に運動神経に優れているわけでもないし、ふつうの少年というイメージでしたね。
でも、30年経って観ると、また別の感覚。
「ジャン、おまえカッコいいよ!」ってかんじ。
感想が180度変わってます(;^ω^)
たしかに30年経ってもジャンはふつうの少年なんです。
でも、彼には常に意志がある。
いつでも飛行機を完成させることを夢見ているし、いつでもナディアをアフリカに連れて行こうとするし、いつでもナディアのことが大好きだし、いつでもナディアのことを守ろうとするし助けようとする。
たとえ今の自分には到底出来なさそうなことであっても、ジャンは必ずナディアにこう言う。
「ナディア、ぼくの飛行機で、いつか君をアフリカに連れて行ってあげるよ」
いつの間にか自分の意志無く生きるようになってしまったおっさんには、ジャンの姿はまぶしくて見ていられない存在になってしまいました。
最後死んじゃう
めっちゃネタバレですが、ふしぎの海のナディアで、最終話でジャンは死にます。
めっちゃあっけなく。
塔の上から滑落死させられて音もなく死んでしまうのです。
人の死というものは本当に簡単に訪れるものだということを思い知らされます。
当時は、最終話まであんなにも頑張ってきていた主人公のジャンが簡単に死んでしまうので、かなりショックを受けました。
30年経った今観なおしても、やっぱりショックでしたね。
「あんなに頑張ってるやつが、なんで死ななあかんねん」
そんな気持ちでいっぱいになります。
誰であれ死は訪れる。
自分は、「ふしぎの海のナディア」というアニメは、「死」というものの儚さ、悲しさ、絶望感、虚無感、そして必然性と偶然性・・そういったものを視聴者にしっかりと見せたかったんだろうなあと思っています。
そしてそれを常に意識させ、考えさせる。
小学生で見ると衝撃を受けるのも無理はないかもしれません。
今観ても、すごいアニメだと思います。
復活した後の言葉がカッコイイ
で、ネタバレついでに最後までネタバレすると、この後ジャンは復活します。
ブルーウォーターの力でナディアがジャンを復活させるのです。
このあたりちょっと都合良くない?って思ったけど、ナディアの世界では古代アトランティス人が人間を作ったので、その古代アトランティス人の力の結晶であるブルーウォーターが人間を復活させても不思議はないと思うことにしています。
ブルーウォーターは過去のアトランティス人たちの想いをつなぐ結晶であり、ナディアとナディアの死んだ母親をつなぐものでもありました。
でも、ジャンを復活させることに使ってしまったブルーウォーターは、ただの石に代わってしまいます。
ナディアとアトランティス人との絆はこうして消え去ってしまうのです。
ナディアと他の乗組員を地球に帰還させるため、自ら犠牲となった父ネモとも死別し、地球上に残る最後のアトランティス人となってしまったナディア。
地球に戻る宇宙船の中で目を覚ましたジャンに、ナディアはこう話しかけます。
「ジャン、あなたの故郷に帰るのよ」
ナディアの底知れぬ孤独感を即座にかんじとったのか、ジャンはこう返します。
「ちがうよナディア。僕らの故郷さ。君の生まれた星だよ。僕らは同じ地球人じゃないか」
この言葉でふしぎの海のナディアは本編が終わります。
以上「ふしぎの海のナディア主人公ジャンは最終回で死亡するっていう衝撃」でした。
家に居ながらにして、童心?にもどって一見ふつうだけど大人になってみるとメチャクチャかっこいいジャンと世界の海へ大冒険に出られる「ふしぎの海のナディア」は「Amazonプライム・ビデオ」加入で今無料で見られます。
興味を持った方は是非一度見てみてください。