いろはにほへと

元証券アナリストのひとりごと

大手の子会社への就職・転職はやめとけ? 子会社出向経験から分かった大手子会社の真実

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コスパが良いという理由で、大手子会社への就職を目指す学生・転職者も多いそうです。

なるほど、大手の親会社を目指して頑張るより、入りやすい大手子会社へ就職する方が簡単かもしれません。

でも、それってホントにコスパが良いのでしょうか?

「鶏口となるも牛後となるなかれ」

世の中にはこんな言葉がありますが、大手の子会社への転職って、いったいどうなのでしょうか?

 

 

親会社がやりたくない仕事が子会社の仕事

子会社というものがなぜ存在するのか、考えたことがありますか?

会社を設立するなんて、メンドクサイに決まっているのです。

それでも子会社を設立する理由。

それは「親会社がやりたくない仕事を子会社にやらせるため」です。

 

具体的にはどういう仕事か?

それは「儲からない仕事」です。

鉄道会社であれば駅清掃の子会社を作ったり、自動車会社であれば、自動車部品を作る子会社を作ったり、メーカーがメンテナンス専門の子会社を作ったり・・。

 

親会社より給料は安い

「儲からない仕事」を親会社の高い給料を払っている社員にやらせるのは効率悪い。

だから子会社を作って、親会社より低い給料で人を雇います。

そのために子会社を作っています。

 

だから僕は、子会社に出向した時、給料のことは絶対に話せませんでしたね。

子会社の社員の給料は、基本的に2割ほど低く設定されていましたから。

ボーナスだって子会社は親会社の2/3しかもらえませんでした。

 

親会社より福利厚生は手厚くない

福利厚生はグループ会社で統一していることもありますが、給料と同じ理由で親会社より手厚い福利厚生なんてことはまずありえないようです。

僕の勤めているところだと、福利厚生の待遇にそれほどの差はなさそうでしたが、ひどいところだと、社員寮が親会社は5千円、子会社には無しなんてところもあるようですね。

 

出世は基本ムリ

頑張って働けば出世できるかというと、それも無理なのが子会社です。

がんばっても副部長、ごくまれに、目一杯出世して部長と言ったところが限界。

なぜなら役員連中は親会社からの出向で埋め尽くされているからです。

 

子会社は親会社がオーナーですから、オーナーである親会社から当たり前のように役員が派遣されてくるのです。

親会社の意向を反映させるためであり、どこの子会社でもほぼこの構図です。

自分の出向していた会社では、社長から取締役まで全員出向者でした。

 

親会社からの意向には逆らえない

子会社は親会社からの意向には逆らえません。

親会社がオーナーであり、オーナーの意向に逆らえないのは言うまでもありません。

これが資本主義です。

 

先ほどの出世の件のところでもお話ししましたが、そもそも、親会社の意向を反映させるために役員がやってきているのです。

なので親会社の意向にひたすら黙って従い続けるしかないのです。

 

同じ規模の会社であっても、独立系の会社であれば、別事業に進出して、自分たちの働きや創意工夫次第で事業規模や売上や利益を成長させることも可能です。

しかし、子会社にはそういった役割は期待されていません。

もちろん売上を上げることは求められますが、それはあくまで親会社の意向の範囲内でということになります。

 

親会社社員に対する劣等感

そんな環境で過ごしていると、人間どうなるか。

親会社の社員に対する劣等感が生まれることになります。

相手に対する媚びへつらいという形で劣等感が現れる人もいれば、敵愾心をむき出しにするという形で劣等感が現れる人もいます。

 

そんなことない人も中にはいるかと思いますが、僕個人の感想だと、僕の出向していた子会社では、みんな、多かれ少なかれ親会社社員に対する劣等感を持っているように感じました。

 

けっして安定はしていない

そんなこと言っても大手の子会社なら安定しているだろう。

自分は安定していればそれで良いから大手の子会社が良い。

そういう人もいるでしょう。

実際、そういう理由で子会社に入社している人も多いと思います。

 

でも、これはまったくもってナンセンスだと思います。

なぜなら、子会社なんて、親会社の経営が傾けば、すぐに売却対象になるからです。

 

最初にもどりますが、子会社は「儲からない」仕事をさせるために作ります。

なので、赤字になってしまう可能性もかなり高いわけです。

親会社が赤字で子会社が赤字となると、親会社は自社のリストラの前に子会社を切ります。

なぜなら、リストラで社員の首を切るのは難しいですが、子会社は他社に売却してしまえば良いだけだからです。

つまり、子会社は親会社の雇用の調整弁として利用できるわけです。

もちろん、今問題になっている非正規雇用ほど立場が悪いわけではありません。

しかし、就職の理由にして良いほど、子会社の社員という立場が安定しているわけではないのです。