所有権割合ってふだん生活していると聞きなれない言葉だと思います。
でも、家を建てたり買ったりしたら、知っておかなければならない必須の知識。
所有権割合について知らないと、思わぬところで大損してしまうかもしれません。
所有権保存登記とは?
土地や建物を購入・建築すると、所有権があることを登記所に届け出ます。
これを所有権保存登記と言います。
不動産である土地や建物には名前を記載して持ち歩くわけにはいかないので、役所に届け出ることで、自分の持ち物であることを示すわけです。
共有持ち分とは
不動産を共同で購入することがあります。
よくあるのが、夫婦それぞれでお金を出して購入するパターン。
住宅ローンで夫婦ペアローンを組む場合や、フラット35で連帯債務でお金を借りる場合がこれに当たります。
その場合、不動産の「持分」を設定します。
たとえば、2,000万円の建物を、夫婦で半分ずつお金を出し合って購入した場合には、持分を「夫:1/2」「妻:1/2」として設定します。
基本的には、「出資割合(どちらがどれくらいお金を出したかの割合)」に基づいて、持分を設定します。
持分を適当に決めちゃうと損をする
この持分を、出資割合で考えず、適当に設定してしまうと、後々いろいろな面で不都合なことが発生します。
もっと具体的に言うと、税金面で大きな損をすることになります。
住宅ローン控除は持分に応じて適応される
住宅ローン控除を受けるには、住宅ローンを借入することが適用要件であることはいうまでもありませんが、もう一つ大切な要件として、「住宅ローンで家を買った」とみなされなければなりません。
たとえば、家の値段が2,000万円、夫の住宅ローンの借入が2,000万円の場合に、夫と妻の所有権を半分ずつにした場合ですと、住宅ローン控除が満額使えなくなります。
というのも、所有権が半分しかないため、夫の出資金額は1,000万円とみなされ、夫の住宅ローンは1,000万円しか家の購入に使われていないとみなされるため、住宅ローン控除は1,000万円しか使えなくなります。
贈与税特例も持分に応じて適用される
贈与税の特例を受ける際にも、住宅の持分を確認されるので注意が必要です。
たとえば2,000万円の家を購入し、夫が1,500万円の住宅ローンを借入をし、妻が実家から500万円の贈与を受けていた場合で、夫の所有権だけで妻の所有権を持たなかった場合。
このばあい、妻は贈与税特例を受けることができません。
というのも、妻は家の所有権を持っていないため、妻は贈与された500万円を家の購入に充てていなかったとみなされるのです。